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障害年金の基礎知識|等級・金額・受給要件をやさしく解説

「利用者さんのご家族から、障害年金の相談を受けたけれど、何から説明すればよいか分からなかった」——グループホームや生活介護の現場では、こうした場面に日々のケアの合間で対応することがあります。障害年金は制度が複雑で、障害者手帳の等級と混同されることも少なくありません。

本記事では、障害福祉サービス事業所で働くスタッフが利用者や家族から相談を受けたときに、正確な基礎知識をもとに適切な案内ができるよう、障害年金の仕組みと最新の制度情報を整理します。

障害年金とは?障害者手帳との違いを押さえる

障害年金は、病気やけがによって日常生活や仕事が制限される状態になったときに、生活を支えるために国から支給される公的年金です。老齢年金と同じ社会保険制度の一部であり、現役世代であっても、一定の要件を満たせば受給できます。

現場でよく混同されるのが「障害者手帳」との違いです。障害者手帳(身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳)は市区町村が発行し、福祉サービスの利用や税制優遇の根拠となるものです。一方、障害年金は日本年金機構が審査・支給する現金給付であり、認定基準や等級の考え方も手帳とは別に定められています。

手帳の等級が重いからといって、必ずしも年金の等級が同じになるとは限りません。この点は、利用者や家族から相談を受ける際にまず押さえておきたいポイントです。

障害年金の種類と等級・年金額(令和8年度)

障害基礎年金と障害厚生年金

障害年金には、初診日にどの年金制度に加入していたかによって「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があります。国民年金に加入していた期間、または20歳前や60歳以上65歳未満で年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、障害基礎年金が対象です。

厚生年金保険の被保険者期間中に初診日がある場合は、障害基礎年金に上乗せする形で障害厚生年金が支給されます。さらに、障害厚生年金の対象となる程度より軽い障害が残ったときは、一時金として「障害手当金」が支給される制度もあります。

  • 1級:他人の介助を受けなければ日常生活のことがほとんどできない状態
  • 2級:日常生活が極めて困難で、労働により収入を得ることが難しい状態
  • 3級:労働に著しい制限がある状態(障害厚生年金のみ)

年金額の目安(令和8年4月分から)

年金額は毎年度見直されます。令和8年4月分からの障害基礎年金は、1級が年額1,059,125円、2級が年額847,300円(昭和31年4月2日以後生まれの方の場合)で、生計を維持されている子がいる場合はさらに加算があります。

障害厚生年金は、報酬比例の年金額をもとに、1級は1.25倍、2級は等倍で計算され、生計を維持されている配偶者がいる場合は加給年金額が加わります。3級には635,500円の最低保障額が設けられており、これを下回ることはありません。

年金請求書類を確認する様子
申請書類の確認は早めの着手が大切

受給の3要件と申請前に確認すべきポイント

初診日

障害年金の受給要件で最も重要なのが「初診日」です。障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日を指し、この日を基準にどちらの年金制度から支給されるか、保険料納付要件を満たしているかが判断されます。

保険料納付要件

初診日の前日時点で、初診日のある月の前々月までの公的年金加入期間のうち3分の2以上の期間、保険料が納付または免除されていることが必要です。ただし、初診日において65歳未満であれば、直近1年間に未納がなければよいという特例もあります。20歳前に初診日がある場合は、この納付要件自体が問われません。

障害認定日

障害認定日とは、原則として初診日から1年6ヶ月を経過した日(それより前に症状が固定した場合はその日)を指し、この時点での障害の状態が等級に該当するかどうかで支給が決まります。認定日に該当しなくても、その後症状が悪化した場合は「事後重症」による請求が可能です。

📋 実践のポイント

生活介護を利用するCさん(脳性まひ、身体障害者手帳1級)のご家族から「年金の申請をしたい」と相談を受けた際は、まず医療機関のカルテが残っているうちに初診日を確認するよう伝えましょう。「小さい頃に最初に診てもらった病院名や時期を、母子手帳や医療証などで確認してみませんか」と具体的に声をかけることで、ご家族が行動に移しやすくなります。

20歳前傷病による障害基礎年金と所得制限

知的障害や先天性の疾患など、20歳になる前から障害がある方は、年金制度に加入する前に初診日があるため、保険料納付要件は問われません。20歳に達した日(またはそれ以後に障害認定日が来た場合はその日)に等級に該当していれば、障害基礎年金が支給されます。知的障害のある方の障害年金については、こちらの記事でも詳しく整理していますので、あわせてご確認ください。

一方で、20歳前傷病による障害基礎年金には所得制限があります。前年の所得が3,761,000円を超えると年金額の2分の1が、4,794,000円を超えると全額が支給停止となります(扶養親族がいる場合は加算あり)。就労継続支援A型など雇用契約を結んで収入を得ている利用者の場合、年収によって年金額が変動する可能性があるため、収入状況を踏まえた説明が必要です。

福祉スタッフと利用者の相談の様子
制度の説明は焦らず丁寧に行う

申請の流れと必要書類

申請は、居住地の市区町村役場(20歳前傷病による障害基礎年金の場合)または年金事務所・街角の年金相談センターで行います。主な必要書類は次のとおりです。

  • 年金請求書(様式第104号など)
  • 医師の診断書(障害認定日から3ヶ月以内の現症のもの)
  • 受診状況等証明書(初診の医療機関と診断書作成医療機関が異なる場合)
  • 病歴・就労状況等申立書
  • 本人名義の預金通帳等、戸籍謄本や住民票などの本人確認書類

申請の詳しい流れはこちらの記事で具体的に紹介しています。請求から支給決定までは、通常でも3ヶ月前後かかることが多く、遡って受け取れる年金にも5年の時効があるため、早めに準備を進めるよう案内することが大切です。

📋 実践のポイント

「病歴・就労状況等申立書」は、発症からの通院歴や日常生活の様子を本人・家族が時系列で記載する書類です。就労移行支援を利用するDさんのケースでは、支援員が日々の支援記録を月ごとに整理し、「〇月頃から通所日数が減った」「対人関係での疲労感を訴える回数が増えた」といった具体的なエピソードを一緒に振り返る時間を設けたことで、申立書の作成がスムーズに進みました。

福祉スタッフが申請サポートで意識したい実務ポイント

福祉スタッフの役割は、年金の等級を判断したり診断書の内容に関与したりすることではありません。あくまで、利用者や家族が制度を理解し、必要な準備を進められるよう側面から支えることが基本です。診断書の内容や医学的な判断が必要な場面では、必ず主治医や医療機関に相談するよう案内してください。

日々の支援記録は、病歴・就労状況等申立書を作成する際の重要な資料になります。日常の困りごとや支援内容を具体的に記録しておく習慣が、結果的に利用者の申請支援にもつながります。申請手続き全般については社会保険労務士に相談できる場合もあるため、事業所として相談先を把握しておくと安心です。福祉スタッフが申請サポートする際の注意点もあわせてご覧ください。

年金額を電卓で確認する場面
年金額の計算は制度を確認しながら

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まとめ

障害年金は、障害基礎年金・障害厚生年金という2つの制度、初診日・保険料納付要件・障害認定日という3つの受給要件、そして20歳前傷病特有の所得制限など、押さえるべきポイントが多い制度です。福祉スタッフが正確な基礎知識を持つことで、利用者や家族の不安を和らげ、適切なタイミングで専門機関につなぐことができます。

相談を受けた際は、まず初診日の確認から一緒に始めてみましょう。日々の支援記録を丁寧に積み重ねることが、申請支援の何よりの土台になります。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の支援方針・医療的判断・法的判断を保証するものではありません。実際の対応にあたっては、所属事業所のルールやサービス管理責任者・医師・看護師等の専門職の判断に従ってください。