入職したばかりの職業指導員が朝礼で「今日はサビ管が個別支援計画の見直しで外出するので、生活支援員と情報共有をお願いします」と言われ、誰が何を担当しているのか分からず戸惑う――就労継続支援B型の現場ではよくある光景です。
管理者、サービス管理責任者(サビ管)、職業指導員、生活支援員など、複数の職種が同じ利用者を支えるため、役割の理解があいまいなまま働くと、伝達漏れや対応の重複が起きやすくなります。本記事では、就労継続支援B型事業所を構成する9つの職種の役割を整理し、現場で連携がスムーズになる実践のポイントを解説します。
就労継続支援B型で多職種連携が欠かせない理由
就労継続支援B型は、一般企業での就労が難しい障害のある方に、雇用契約を結ばずに働く場と工賃を提供する障害福祉サービスです。厚生労働省が定める障害福祉サービス等報酬改定の基準においても、利用者の状態やニーズに応じて複数の専門職を適切に配置することが求められています。
一人の利用者に対して、作業指導、生活面の支援、心理的なサポート、食事の提供など、支援の側面は多岐にわたります。どれか一つの職種だけでは支援は完結せず、職種間で情報を共有しながらチームとして関わることが、安定した支援とサービスの質の確保につながります。
就労継続支援B型を支える9つの職種
以下では、就労継続支援B型事業所で配置される主な職種と役割を紹介します。事業所の規模や運営方針によって呼称や兼務の形は異なりますが、基本的な役割は共通しています。
管理者
事業所全体の運営責任を担い、職員の採用・育成、予算管理、施設の安全管理、行政への各種届出などを行います。現場の職員だけでは判断できない苦情対応や大きな設備投資などの最終意思決定者でもあり、日々の相談窓口としての役割も担います。
サービス管理責任者(サビ管)
利用者一人ひとりの個別支援計画を作成し、定期的にモニタリングして内容を見直します。本人・家族の意向を聞き取りながら、職業指導員や生活支援員が行う日々の支援の方向性を示す、いわば現場の司令塔的な存在です。
職業指導員
利用者が行う作業の指導や工程管理を担当します。単に作業を教えるだけでなく、利用者同士のコミュニケーションや報連相の練習など、就労に必要な基礎的なスキルを身につけられるよう関わります。職業指導員の一日の具体的な業務の流れは、職業指導員の一日の流れ|就労継続支援の実務で詳しく紹介しています。
生活支援員
利用者の日常生活面(体調管理、身だしなみ、対人関係の悩みなど)を支援します。作業中の様子だけでなく、通所前後の様子や家庭での困りごとにも目を配り、サービス管理責任者に必要な情報を伝える役割も担います。
目標工賃達成指導員
利用者に支払う工賃の向上を目的に配置される職種で、作業内容の見直しや新規受注の開拓、生産性向上のための工程改善などを行います。工賃実績は事業所の評価にも関わるため、経営的な視点も求められる仕事です。
福祉専門職員
社会福祉士や精神保健福祉士等の資格を持ち、利用者の心理面・社会面の支援を専門的に担います。個別カウンセリングのほか、対人関係のトラブルが起きた際の調整役としても頼りにされる存在です。
調理員
施設内で提供する食事の調理と衛生管理を担当します。利用者の中にはアレルギーや持病により食事制限がある方もいるため、サービス管理責任者・生活支援員と情報を共有しながら献立を検討することも重要な業務です。
事務員
利用者の出欠管理や工賃計算、請求業務、備品管理など、事業所運営を裏方で支える職種です。直接支援に入る機会は少ないものの、正確な記録・請求がなければ事業所の運営自体が成り立たないため、他職種との情報連携が欠かせません。
送迎担当者
事業所によっては、自宅と事業所間の送迎を行う職員を配置しています。送迎中の車内は利用者と1対1になりやすく、その日の体調や気になる様子に気づきやすい貴重な時間でもあるため、気づいた変化はその日のうちに生活支援員やサビ管に伝える体制を整えておくことが大切です。
職種間の連携でつまずきやすい場面と対応のポイント
役割を理解していても、実際の現場では伝達のタイミングや方法で行き違いが起こりがちです。ここでは、就労継続支援B型でよくある2つの場面を例に、具体的な対応のポイントを紹介します。
個別支援計画の変更を現場に周知する場面
サービス管理責任者が個別支援計画を見直した際、変更内容が職業指導員や生活支援員に十分に伝わらないまま支援が続いてしまうと、利用者への対応がちぐはぐになることがあります。
📋 実践のポイント
サビ管が個別支援計画を変更した当日は、口頭伝達だけに頼らず、申し送りノートや朝礼で「変更点」「変更理由」「今日から気をつけてほしい対応」の3点を簡潔に共有します。「〇〇さんは体力面への配慮から、午後の作業時間を30分短縮することになりました。疲れた様子が見られたら、無理をさせずに休憩を促してください」のように、具体的な声かけの言葉まで伝えておくと、担当者が変わっても対応がぶれません。
利用者の体調急変・様子の変化に気づいた場面
調理員や送迎担当者など、直接支援を専門としない職種が利用者の異変に気づいても、「自分の担当ではない」と判断し、報告が遅れるケースがあります。特に服薬管理が必要な利用者の体調変化は、対応が遅れると重大なリスクにつながるため注意が必要です。
📋 実践のポイント
「顔色が悪い」「いつもと様子が違う」といった気づきは、職種にかかわらずその場で生活支援員かサービス管理責任者に伝えるルールを事業所内で徹底します。声かけの例として「〇〇さん、さっきよりしんどそうに見えたので、少し様子を見てもらえますか」と一言添えるだけでも、対応の遅れを防げます。服薬や体調に関わる判断は、必ず看護師や嘱託医、かかりつけ医などの専門職に確認したうえで対応してください。
職種の役割や制度の要点を手元でいつでも確認できるよう、参考資料を備えておくと安心です。業務の合間に確認できるアイテムを探す際は、こちらもチェックしてみてください。
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職種配置と制度上のポイント(人員基準・報酬改定)
就労継続支援B型の職種配置は、厚生労働省が定める人員配置基準に基づいて最低限の人数・要件が定められています。基準を満たさない状態が続くと、報酬の減算や指定取り消しといった重大なリスクにつながるため、シフト作成の際は基準を満たしているか常に確認する体制が必要です。人員配置基準とシフト管理の具体的な考え方は、人員配置基準とシフト管理|福祉現場の実務ポイントで解説しています。
また、目標工賃達成指導員配置加算など、特定の職種を配置することで算定できる加算も存在します。加算の要件や単位数は報酬改定のたびに見直されるため、最新の情報を厚生労働省や都道府県のホームページで確認する習慣をつけましょう。報酬改定の基礎知識は障害福祉サービスの報酬改定と加算|現場が知るべき基礎にまとめています。
まとめ|職種の役割を知ることが連携の第一歩
就労継続支援B型は、管理者からサビ管、職業指導員、生活支援員、調理員まで、多様な職種がそれぞれの専門性を発揮しながら一人の利用者を支える職場です。お互いの役割を正しく理解し、変更点や気づきをその日のうちに共有する習慣を持つことが、支援の質を安定させる土台になります。
今日からできることとして、まずは自分の事業所内の役割分担と情報共有のルールを一度整理し、あいまいな部分があれば管理者やサービス管理責任者に確認してみましょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の支援方針・医療的判断・法的判断を保証するものではありません。実際の対応にあたっては、所属事業所のルールやサービス管理責任者・医師・看護師等の専門職の判断に従ってください。


