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職場内ハラスメント予防|パワハラ・セクハラを防ぐ体制づくり

その他

後輩スタッフへの指導のつもりで言った一言が、あとで「きつく当たられた」と受け止められていたことはありませんか。あるいは、先輩職員から必要以上に厳しい言葉を浴びせられ続け、出勤するのがつらくなったという相談を耳にしたことはないでしょうか。

障害福祉の現場は少人数のチームで密接に連携するため、職員同士の人間関係が支援の質そのものに直結します。しかし多忙な業務の中では、指導と行き過ぎた叱責の境界があいまいになりやすいのも実情です。

本記事では、福祉現場で起こりやすい職員間のパワーハラスメント・セクシュアルハラスメントの背景と、今日から取り組める防止体制づくりのポイントを解説します。なお、利用者・家族からの著しい迷惑行為への対応はカスタマーハラスメント対策|福祉現場でスタッフを守る初動で扱っており、本記事はそれとは逆方向の、職員間の人間関係に焦点を当てます。どちらも「一人で抱え込まない体制づくり」という点では共通しており、あわせて押さえておくことで事業所全体の職場環境改善につながります。

整理された事務所のデスク
相談しやすい職場環境づくりが第一歩

福祉現場でハラスメントが起きやすい背景

閉鎖的な人間関係と感情労働の負荷

利用者支援は多くの場合、少人数のシフト体制や個室・車内などの密室性の高い場面で行われます。第三者の目が届きにくい環境は、行き過ぎた言動が繰り返されても表面化しにくいという特性を持ちます。

加えて、支援員は日々の感情労働に加えて職場内の人間関係のストレスも抱えやすく、人手不足の事業所ではシフトの調整もままならず、休みを取りにくい雰囲気が職員間の余裕のなさに拍車をかけることもあります。疲弊が蓄積すると些細な言動にも過敏に反応しやすくなります。感情労働の負荷そのものへの向き合い方は支援員のバーンアウト予防|感情労働との付き合い方でも詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。こうした状況が、指導とハラスメントの境界をさらにあいまいにします。

「指導」と「ハラスメント」の境界のあいまいさ

先輩職員が「利用者の安全のため」という名目で強い口調の指導を繰り返すケースは少なくありません。しかし、業務上必要な範囲を超えた人格否定や威圧的な態度は、厚生労働省が示す職場のパワーハラスメントの3要素(優越的な関係を背景とした言動、業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの、就業環境を害するもの)に該当し得ます。

放置すれば当事者の離職につながるだけでなく、萎縮した職員が利用者への支援でも消極的になり、支援の質そのものが低下するリスクがあります。個人の問題として片付けず、事業所全体の課題として捉える視点が欠かせません。

特にグループホームの夜勤や少人数体制の生活介護など、先輩と後輩が二人きりで長時間を過ごす場面ではリスクが高まりやすい傾向があります。組み合わせを固定しすぎず、定期的にシフトの組み合わせを見直すことも一つの予防策になります。

現場での実践的な対応方法

今日から実践できること

まず個人レベルでできることとして、気になる言動があった場合は日時・状況・発言内容を客観的に記録しておくことが重要です。曖昧な記憶のまま相談すると、後の事実確認が難しくなります。

📋 実践のポイント:気になる言動の記録チェックリスト

  • いつ・どこで・誰から・どのような言動があったか
  • 同席していた職員の有無と、その場の状況
  • 自分がどう感じたか、業務にどのような影響が出たか
  • 一人で抱え込まず、早い段階で相談窓口や管理者に共有する
  • 信頼できる同僚に事実を共有し、一人だけの受け止めにしない

チームで連携してできること

個人の努力だけでは限界があるため、事業所として相談窓口の設置と対応フローの明確化が不可欠です。労働施策総合推進法(いわゆるパワハラ防止法)により、事業主にはハラスメント防止のための雇用管理上の措置義務が課されています。相談窓口の設置、就業規則等での方針の明確化、相談者・行為者のプライバシー保護、再発防止策の実施などが求められており、これらは大規模法人だけでなく中小規模の事業所にも等しく適用されます。

あわせて、日常的な振り返りの機会としてスーパービジョンとは|支援の質を高める振り返りの仕組みのような場を設けることも、人間関係のこじれを早期に把握する助けになります。次期リーダー候補には中堅職員のリーダー育成|後輩指導とチーム連携のコツで紹介している指導のあり方もあわせて共有しておくとよいでしょう。

📋 実践のポイント:管理者の初期対応手順

  • 相談者の安全・心情に配慮し、まず個別に話を聞く場を設ける
  • 相談内容を記録し、当事者双方から落ち着いて事実確認を行う
  • 必要に応じて配置転換やシフト調整等の一時的な措置を検討する
  • 相談したこと自体を理由に不利益な扱いをしない旨を明確に伝える

相談内容を整理して記録に残す際や、初動対応の型を学ぶ際は、こちらもチェックしてみてください。

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相談窓口づくりの参考資料として

ノートとペンで記録をとる様子
気になる言動はその都度記録に残す

注意点・リスク管理上の留意点

相談を受けた際は、相談者・行為者双方のプライバシーに最大限配慮し、必要最小限の関係者以外に情報が広がらないようにします。噂として広まってしまうと、相談者がさらに孤立する二次被害を招きかねません。相談記録の保管場所や閲覧権限をあらかじめ定めておくことも、情報管理の観点から欠かせません。

また、指導そのものを萎縮させすぎると、必要な注意喚起や安全確保のための毅然とした対応まで難しくなってしまいます。業務上の指導とハラスメントを区別する基準を、事業所内の研修等を通じてあらかじめ共有しておくことが望まれます。

対応の判断に迷う場合は一人で抱え込まず、サービス管理責任者や上長に相談してください。心身の不調を伴うケースでは医師・産業医への相談も検討し、必要に応じて社会保険労務士など外部の専門家の助言も得るようにしましょう。事業所によっては外部の相談窓口や労働局の総合労働相談コーナーを案内する仕組みを整えているところもあり、内部での相談がしづらい場合の選択肢として職員に周知しておくと安心です。

ハラスメントは怒鳴る・叩くといった分かりやすい行為だけでなく、無視をする、必要な情報を共有しない、過度に些細なミスを指摘し続けるといった、一見目立たない形で現れることもあります。「見えにくい言動」こそ見逃さない意識を、管理者だけでなくチーム全体で持つことが重要です。

椅子が並ぶ静かな会議室
落ち着いて話せる場を確保する

まとめ

職員間のハラスメントは、支援の質と職場の定着率の両方に直結する重要な課題です。まずは身近な言動を記録する習慣づくりから、事業所全体では相談窓口の整備と管理者の対応フローの明確化から取り組んでみましょう。

今日のミーティングで、自分のチームの相談体制が明確になっているか、一度確認してみませんか。相談窓口の担当者や連絡方法が誰の目にも見える形で共有されているか、この機会にチェックリストとして書き出してみるのもおすすめです。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の支援方針・医療的判断・法的判断を保証するものではありません。実際の対応にあたっては、所属事業所のルールやサービス管理責任者・医師・看護師等の専門職の判断に従ってください。